1.いつもの人



「いらっしゃいませ！何名様ですか？」

「1名です」

「喫煙されますか？」

「いいえ禁煙席でお願いします」

「ではお好きな席へどうぞ」

いつもの人だ。

前はちょっとかっこいい人と一緒だったのに。

ちぇ、心の中で舌打ちした。

この人は迷わずソファーの席に行きいつもの座り方をした。

足を抱えて体育座り？みたいな家でのくつろぎモード。

その座り方をイスの上でやってのけるんだからすごい。

最初は驚いた。

(世の中にはいろんな人がいるなぁ…)

マジで実感。

今もちょっと驚くけど。

「いらっしゃいませ。今日のセットメニューはこちらになります」

この人はメニューに見向きもせず、でもちょっと考えた振りして

「イチゴショートケーキと…アメリカンお願いします」

(いつもと同じね)

と思いつつ関心してしまう。

(この人はうちの売りがわかってるじゃない)

イチゴショートケーキはうちの手作りで最高に美味しいのだ！

「イチゴショートケーキとアメリカンですね。かしこまりました」

営業スマイルで受け答える私。

この人は私に見向きもしない。

ム。

(ちょっとは笑ってみたらどうなんだ！ていうかこっち見ろって！)

と怒る気持ちをなだめつつその場を離れた。

「昼って暇ですよね…」

「そうだね。売上やばいよ、泣けてくる」

「店長泣かないでくださいよー(笑)」

「さんも泣かないで」

「泣きたくても泣けませんよ」

「ほんとだよ〜ははは(渇笑)」

(ほんと暇…)

こんな時は店内観察をする。

要するにお客さん観察なんだけど…

私はもっぱらあの人だ。あのショートケーキさん。

あの人はコーヒーに砂糖を何杯入れる気なんだろう？

私も甘党だけどいくらなんでもあそこまでは…

今日もイチゴは最後なのね。

と、見てるとクスクス笑ってしまう。

なんか微笑ましいのだ。

(なんかクセになるなぁ)

と思って見ていると目が合った。

(ヤバイ！)

慌てて目を逸らす。

するとあの人は「すみませーん」と私を呼んだ。

見てたのバレたかなぁ…と思いながら

「なんでしょうか？」

と営業スマイル。

この人は一瞬大きい目をこっちに向けるとまたすぐメニューに視線を落とした。

(今日はもっと頼むの？)

「じゃあイチゴ…」

と言いかけてこっちを見た。

大きい目をよりいっそう大きく見開いている。

ドキっとした。

「…ショートケーキとアメリカンでお願いします」

ふっと微笑んで言った。

時間が止まった気がした。

「…あっはい！有難うございます！イチゴショートケーキですね？あ、あとアメリカン…ですね！お待ちください！」

慌てて返事をするとその場を離れた。

ドキドキしてる。

あんな風に笑うんだ…。

すっごいドキドキしてる私。

「お疲れ様でしたー」

「はいお疲れ様〜」

時計を見ると5時15分。

帰ってレポートやんなきゃなぁ…めんどいな。

その前にどっかで食べて帰ろうか。

そんなこと考えながらふとあの人を思い出した。

ショートケーキさん。

あの人のお会計の時は私は他の接客してて会えなかった。

(あースゲ―悔しい)

ちぇ、と舌打ちした。

て、この気持ちはなんなんだ。

ちょっと気持ち悪いとか思ってたはずなのに、今はあの人の顔が見たいと思ってる。

何かがあの時狂った気がした。

そうあの時、あの笑顔…

と、その時ハッと我に返った。

人込みの中でもはっきり判る。

あの人だ。

心臓が跳ね返った。

あの人が前から歩いてくる。

いつもの服装で猫背でゆっくりと、実際はどうか知らないけど私にはスローに見えた。

私に気づいたのか立ち止まって

「こんばんわさん」

と、微笑んだ。目の前で。

「…あ、こんばんわ…」

「また明日喫茶店にいきますので」

「…あ、はい！どうぞ！」

彼はまた微笑むと「では」と言って歩いていった。

もう私はわけがわからなくて。

とにかくもうドキドキしてて。

こんな気持ちは中学生の初恋以来で…

今はっきり自覚した。

恐ろしいことになった。

私は恋をしてしまったのだ！







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ははぁ、ついに手を出しちまいました夢！

L夢でしかも連載ものです。

しかも一回しか名前呼んでませんねL(笑)

名前変換とかいうすごいハイテクなもの使ってるのに！

ちなみにこれが私の初夢ですよ！

大体が私文章書きじゃないんで…言い訳です。

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